外で手相を見る占いをやっていた先輩の話です。
それはとある、初夏のある日のことでした。
週末ということもあり居酒屋も多いその通りは賑わっていました。先輩のところにもそこそこ客が来たそうです。
やがてそろそろ時間にもなり店じまいをしようかと思っていたその時。
1人の男性客が現れました。
先輩はその客に何か不自然なものを感じたそうです。長い間こういった商売をしていると自然、一目見ただけで客の人となりが分かることもあるみたいですが、それが何であるかすぐにはわからず、先輩は座ってもらうよう促しました。
男性はニヤニヤしながら、「健康運を占って欲しい」とつげたそうです。
先輩が「それではお手を失礼致します」と右手を出してもらうよう伝えたところ「右手じゃなくてもいいですか」とのこと。
「構いませんよ」と答えた先輩はギョッとしました。
奴は中腰になって下半身のアレをテーブルに乗せ「見て下さい」とのたまったのです。
ところがどっこい先輩もだてに長年いろいろな客の相手をしているわけではありません。
最初こそぎょっとしたもののすぐに気を取り直し、笑顔でこういったそうです。
「お客様。小さすぎて鑑定いたしかねます」
男はすごすごと退散しました。
おとといきやがれ。