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電話!その恐るべき相手

 これはうちに勤めている事務職のA君が体験したお話です。
 うちは平日が休みになることが殆どで、その日A君も午前中タップリと眠った後遅い朝食を食べ、母親が掃除をしている間居間でテレビを見ているという、まさにダラダラ生活をしていたとのこと。

 電話の鳴る音がしてそれを母親が取り、しばらく話していたようでした。
「A−?」
 呼ぶ声にA君は「なにー?」とテレビを見ながら生返事。

 すると母親から恐るべき言葉がかえってきたのでした。



あんたから電話かかってきてるんだけどー」




「はっ…?」



 あわてて母親のところにかけつけたA君。母親から受話器を受け取り、「もしもし!?」と出てみると。

「……もしもし…うえっ…俺……Aだけど………交通事故で妊婦さんに怪我させちゃって……どうしよう………」

「A君のご家族ですか? この通り、A君が事故を起こしまして…」



 オレオレ詐欺でした。

 A君、黙って電話を切ったそうです。
(一応その後警察に連絡したとのこと)


 本人がいるのにかけてくる方も方ですが、呑気に対応している母も母だ、とA君は思ったそうです。
 まだ、オレオレ詐欺が振り込め詐欺と名称を変える前のお話でした。




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