今はもういないのですが昔働いていたB君という人に関するお話です。(話についての許可はとっております)
B君は人の列が出来ると周囲のお店に迷惑がかからないように整理したり、掃除をしたりと、雑用を引き受けてこまめに働いてくれるいい子でした。
そんな彼に恐ろしいことが降りかかろうとは…。
いつものように朝彼がせっせと掃除をしながら、通りかかる人に「おはようございます」と挨拶していた時のことでした。
いきなり後ろからドーンと体当たりされて彼は吹っ飛びました。
彼曰く「よそ見した車にひかれたと思った」とのこと。
地面を転がって 驚きながらも顔をあげると、ものすごいブサイクなにやらすごい雰囲気の女性が立っておりました。
「●△×※◎〜!!!!」
とてもB君には聞き取れない意味不明な言葉をしゃべりながら、そのトド…その女性は突進してきたそうです。
「これはヤバい人に違いない!」
とっさにそう判断したB君はビルへ逃げ込みドアを施錠。ドアのガラスをその女性はドンドンと叩き続け、ガラスが割れるんじゃないかと思ったほどだそうです。
そのうち誰かが通報したのか警察が駆けつけてきて、その女性はサイレンを聞くや逃走。後には呆然としたB君が取り残されました。
警察に事情を聞かれるもまったく心当たりもなく、ただただB君は「わかりません」と言うしかなかったのです。
彼には悪いですがこの話は笑い話としてしばらく、話題になってました。
(無責任な話ですが、被害を受けなかった人間にしてみればB君の話し方がうまかったのと、信じられない内容から大げさに誇張された部分があると思っていたのです)
一週間後。
それは起きました。
表のほうですごい音がして、思わず私やお客さん達は顔を見合わせ、受付が音のしたほうを見に行きました。
以下、受付の見た様子を聞いたままに再現しております。
受付が降りてみると、「何なんだよ!やめてくれよ!」と涙目で叫んでいるB君と、何か奇声を発する物体(のちに例の女性と判明)と、どこかの店の看板が突っ込まれて割れているドアのガラスと、「尋常ではない」状況でした。
当然110番。
現場はしばらく通れなくなったのでお客さんには裏から出て行ってもらい、一時お店は休業状態。
私達も事情がつかめないまま待たされて数時間後。
警察と病院から帰ってきたB君から話を聞くことが出来ました。
B君はどうやらあの女性に好かれてしまったらしく、ここしばらくずっと、ゴミを捨てようと外に出ると付きまとわれる、帰りに待ち伏せされるというようなストーキング にあっていたそうです。
それも何か意味不明なことを言いながら寄ってくるので、精神的にヤバい人なのかなと思いつつも、変なことをしてケガさせても困るし…とあまりハッキリいえなかったのだとか。
そうして今日。
さっさとゴミを出して戻ろうとしたところへその女性がやってきて、何か紙をB君に押し付けようとしたとか。
B君最初は営業スマイルで「すみません、仕事途中なので」とか言って、その女性から漂うものすごい悪臭にもめげず対応しておりました。
ところがその紙の内容が思わず目に入りフリーズ。
紙の内容は、ソフトに申し上げますと、B君の顔写真が貼られた男性裸体の写真切り抜きと、どこかのモデルっぽい体型の女性の裸体切抜きが張ってあって、それが絡み合っているものでした。で、ご丁寧に女性には「私」と書いてあったそうです。
えー…。
くれぐれも言っておきますが、B君は非常に温厚な青年です。
氷川きよしのような、笑顔もさわやか、女性に対する配慮を知っている人です。
そのB君も流石にブチ切れました。
紙を振り払って「帰れ!気持ち悪いんだよ!」と怒鳴っりました。
するといきなり女性が、隣のお店の看板を振り上げてドアのガラスを割ったとのことでした。
(え、そんな力、一体どこに…(;´Д`) )
幸いにも周囲に人影はなく、ケガをしたのは破片が飛んだB君のみで、彼も頬を軽く切っただけ。
しかし事態はそんなに軽く済むものではありません。
B君、人生であんなに怖い思いをしたのは初めてだと言っておりました。
後で聞いたところ、警察でもその女性は、B君とのどう見ても脳内っぽい恋愛話をずっと語っていたそうでした。
(最初にB君をどついてケガをさせたのも、彼女にしてみれば童話で王子様がお姫様をよくやってるように、「こいつぅ」「ウフフフ」)みたいな感じで飛びついただけなんだそうです。
B君、全身打撲してましたが…
お願いですから普通の恋愛して下さい。
(Jack2号註:念押しておきますが、多少事実と変えている部分がありますが、あくまでも本当にあったお話です…)