それは冷え冷えとする冬の日のことでした。
かかってきた電話に受付さんは、口に入れたばかりの紅茶を慌てて飲み込もうとしつつ対応。
「あのー、すみません。こちら××警察署と申しますが…。」
ブフォー!!!
思わず紅茶を吹く受付さん。
「はっ、はい、すみません。何でしょうか?」
「そちらに、Jack2号さんという占い師さんはおられますか?」
「(あいつ何かやったのか…!)はい、おります」
「出していただけますか?」
「お待ちください」
この時の受付さんの鬼のような顔は一生忘れません。
呼び出されて電話に応対すると、聞かされていたのとまったく違って和やかな応対です。
「いやー、すみませんね、お忙しいところ。ちょっとこちらも急いでおりまして」
「何でしょうか?」
「実は、Aさんという方がお客さんにおられるか、探してほしいのです。出来るだけ急ぐのですが」
「え?それは構いませんが…いつ頃相談されたかとか、対面かメールかとかわかりませんか?」
「いやぁ…それがまったくわからなくて」
「…まあ、調べてみます…」
ということで一旦電話を切り、手の空いてる人間総出でパソコンのデータやらその他のデータをチェック。
ところがまったく該当する人はいませんでした。
偽名を使う人もおられるので、偽名で相談を受けていた場合お手上げということになります。
(念のため、誕生日だけでも該当者検索をしましたがおられませんでした)
そういうことで早速、該当者がいなかった旨、偽名を使われていた場合調べられないことなどを話しましたところ。
「あーそうですかー。いえ実は、そのAさんという方がおととい、「Jack2号 占い」というメモを残して失踪されまして。
それでそちらに何か手がかりがないかなと思ったのですが」
何してくれやがってんだよAさん!!!!!
それからも念のためこられるお客さんやメールをチェックしましたが、該当されると思しき方は現れず。
あれからどうなったのかも不明です。
失踪される方へお願いです。
意味深なメモを残していなくならないように。