占い師は男女問わず、仕事着として変わった衣装を着ている方もおられます。アクセサリーとしてパワーストーンを身につけている方も非常に多く、あまりそこらにいるようなファッションではないのは間違いありません。
これは、そんな恰好をしていた同僚鈴木さん(男・仮名)に降りかかった喜劇…もとい悲劇です。
季節は冬になろうかという時期でした。
鈴木さんの衣装はどちらかといえば冬には不向きの寒い衣装で、もう少ししたら衣装を厚い布地のものに変える予定でした。
そんな折。
20代前半の女性である佐藤さん(仮名)が占いに訪れたのですが、鈴木さんが担当したところいきなり翌日から毎日通ってくるように。
この時鈴木さんは仕事上ではよくあることとして特に気にしていませんでした。
実際、占い師さんが親切丁寧に話を聞くのを、自分に気があるからだと勘違いされるお客様はおられます。
決してバカにして言うつもりはないのですが、お金をいただいて占いをする以上お話を聞くのは当然ですから、占い師にその気がなくても「この人私のことが好きなんだ。だからこんなに話を聞いてくれるんだ」と思いこまれるお客さんは男女問わずいらっしゃるんですね。
しかし、「すみませんが××と言ってみてもらえませんか」「このポーズちょっとやってみて下さい。あ、写真とってもいいですか?」と言われている時点で鈴木さんはおかしいと気づくべきでした。
さて鈴木さん。
とうとう寒さも限界になって衣装を変えました。
新しい衣装で心機一転。
その日も佐藤さんの予約が入っていたため、衣装のことについて何かコメントをもらえるかなと思いながらお迎えしたそうです。
佐藤さんは衣裳の変わった鈴木さんを見た瞬間叫びました。
「こんなの、私の▲▲じゃない!早く服戻して!」
そのまま佐藤さんは占いをせずに帰ってしまわれたそうです。
そしてそのあと事務所には猛烈なクレームの電話が。
「▲▲の服を勝手に変えられて幻滅した!早く▲▲の服を元に戻して!▲▲が可哀想!」
電話を受けた担当者は▲▲というのがよくわかりませんでしたが、その日の騒動から鈴木さんのことだとわかったとのこと。
そうしてその日の仕事が終わってから一同で、▲▲とは何か をインターネットで調べてみました。
すると出てきたのは、とあるアニメキャラクター…。
思わず一同「なるほど…」とつぶやきました。
確かに、鈴木さんの前の衣装に偶然似ていなくもありません。鈴木さんは金髪でしたから、そのキャラクターの髪が金色なこともあって余計にコスプレだかしているように見えるのでしょう。
というよりも鈴木さんをそのキャラクターとして見ていたっぽいですね。
占い師さんに好意をもたれるのは構いませんが、キャラクターを押し付けられても非常に困りますのでご遠慮くださいませ。
肝心の鈴木さんですが、「いや、そういうのはちょっと…」と、二度とその衣装には着替えませんでした。
その後しばらく「こんなの私の▲▲じゃない!」という言葉は仕事場内で流行りました。