ある家族連れのお話です。
占いにおいてあまり、家族でこられるというケースはありません。
それこそ遺産相続だのなんだのとややこしいケースならあるのですが。
この時もそんな話かなぁ…と思っておりました。
おじいさんが椅子に座られて、こう話を切り出されました。
「故人でも占えますか?」
「こじん…はぁ!?」
最初は仰天した私ですが、話を聞くにつれ、単に冗談や冷やかしではないことがわかりました。
おばあさんは先日亡くなったのですが、生きている間は照れくさくて何かしてもらっても「ありがとう」と言ったり、どこかへ一緒に旅行するということなどもなかったこと。無口で昔かたぎな自分に文句の一つもいわず、よく尽くしてくれたこと。
そんなおばあさんがあの世で幸せに暮らしているか知りたいと言い出し、家族も驚きながら、あれやこれや調べてここへやってこられたということでした。
普通に聞けばなんてばかばかしいとも思える話です。
でもご家族はそんなおじいさんの話を笑い飛ばすこともせず、一生懸命調べてやってこられたのです。
ここで追い返したら占い師の名がすたります。
「おばあさんはとても幸せに思っておられます。大丈夫ですよ。今も幸せです」
Jack2号がそう告げるとおじいさんは目を真っ赤にして「ありがとう、ありがとう」と何度も頭を下げて帰っていかれました。
こんな占いの結果を信じない人もいるでしょう。
「そうインチキしてまで金が欲しいか」と言われる人もいるでしょう。
でも、「死んだ人を占っても意味がないでしょう」とわざわざ分かりきっていることを突きつける必要もないと、私はそう思います。
日常に感謝すること、そばにいる家族に感謝すること。
当たり前すぎて私達はいつも忘れています。