毎日多くの人と顔をつき合わせているせいか、例えば難しい問題を持ってきた人、クレームをつけてきそうな人、そんでもって尋常でない雰囲気を持っている人、というのは何となくわかるものです。
そして今回は一番後者のお話です。
寒い日だというのに、ヨレヨレのセーターにダボダボのスカートという格好で現れたその女性は、もうそれだけで「普通じゃない」という感じでした。失礼ですが結構ふくよかな方で、ふうふうと息をしながら椅子に座られました。
私が切り出す前に抱えていたノートやらスケッチブックやらを広げ、それを私に見せるようにしたあと、一気に話し出したのです。
………ものすごい早口で、何かのストーリーを。
唖然として聞いているうち、少しずつ、その女性が漫画を書いているらしいこと、それが誰かに盗作されているということ、それについて今後どうしたらいいか占って欲しいということが分かりました。
漫画家さんというわけで馬鹿にするわけではないのですが、物を創造する職業の方は結構変わっている人が多いものです。
大変だなぁと思い占いに入ろうとした時です。
何の気なしにスケッチブックの絵を見て私の手が止まりました。
この絵でプロはありえねぇだろ。
絵を再現してお見せ出来ないのが残念なくらい、お前それはエジプトの壁画ちゃうんか、もしくはUFOにさらわれた人が書いた宇宙人ちゃうんかという感じの、手が腰から生えてるような、肩幅より顔がでかい女の子がそこに書いてありました。
いやいやいや、もしかしたらこういう作風の漫画家さんだっていないわけじゃない。自分の偏見で判断してはいけない、と言い聞かせつつ「で、どんな漫画なんですか?良かったらペンネームとか漫画のタイトル教えてもらえます?」と社交辞令で聞くと、何故か「それは秘密だから」とか「言うほどのものじゃないから」とか口ごもるのです。
おかしいな?と思いつつ「盗作した相手はわかっているのですか?」と聞けばすっぱり答えてくれました。
某有名な漫画のタイトルを。
…ああ、電波な方でしたか…………。
いるらしいですね。自分のアイディアを盗作された!って出版社に苦情言って来る人。